換気の必要性と基礎知識

換気の必要性と基礎知識

なぜ換気が必要か

えっ、昔の家って呼吸してたの!?

呼吸していた昔の家

木材や紙など天然材料で建てられた昔の家は、いつも自然に呼吸(換気)していました。

アルミサッシ等の登場で、家の気密性が高まってきました。加えて開放型暖房機が普及し、室内換気の重要性が高まりました。

呼吸できない今の家

気密性・断熱性が高まったことにより、冷暖房効果や防音性、プライバシーが向上した今の家。反面、自然換気が減り、計画的な換気が必要となりました。

換気不足の影響

人がいるだけで発生する炭酸ガス

人が呼吸するだけで吐き出される二酸化炭素。気密性の高い部屋では自然とその濃度が高まり、息苦しさや頭痛を引き起こす原因となります。また、ガスや石油ストーブなど開放形の暖房器具は、一酸化炭素中毒を招く危険があります。

〈主な汚染物質〉
・二酸化炭素(CO2) ・一酸化炭素(CO) ・窒素酸化物 ・ホルムアルデヒド ・揮発性有機化合物(VOC)

いたるところに汚染の発生源!?

建材や多くの家庭用品から発生するホルムアルデヒドやVOC(揮発性有機化合物)などの化学物質は毒性が強く、発ガン性もあり、アレルギーの原因にも…。

ハウスダスト

外部から持ち込まれた塵や人間の体から落ちた垢、それを餌に繁殖したダニなど室内の塵の総称がハウスダスト。呼吸や汗による皮膚への付着により、アトピー性皮膚炎、鼻炎、気管支喘息といったアレルギー疾患を起こす主因となります。

〈主なハウスダスト〉
・砂 ・土 ・花粉 ・毛髪 ・垢 ・食品屑 ・ダニ ・ダニの死骸や糞 ・衣類や布団、絨毯などの繊維屑、細菌、ウイルス etc.

逃げ場を失った水蒸気が結露に

冬場、室内で発生した水蒸気が逃げ場を失い、結露が発生します。結露はカビの原因となり、ダニの繁殖を招くことにもなります。怖いのは、時には柱を腐らせたり、住まいを痛める危険が大きいことです。

シックハウス症候群
アレルギー
集中力・記憶力の低下
家を傷める

換気の種類

自然換気・機械換気

機械換気の種類

換気方式

換気扇の特性

給気の必要性

あなたの家でこんな心当たりはありませんか? 給気不足の可能性があります。

換気扇の騒音が気になる。すき間から風が入り込むビュービューと音がする。

ドアが開きにくい。

風量と静圧

風量

「風量」とは、換気扇が1時間で排気(給気)する空気の量のことで、単位m3/hです。

静圧(圧力)

「静圧」をわかりやすく説明すると、ゴム風船がふくらむ力のこと。換気扇の場合は、ダクトなどの狭い場所を空気が通る時に生じる力のことです。
※単位はPa(パスカル)

騒音

24時間計画換気の義務化

建築基準法の改正(施行)により、今後は住宅全体を考えた、計画的な換気(24時間換気)を取り入れる必要があります。

建築基準法の改正により、これからの住宅には、シックハウス対策の1つとして、これまでの各部屋単独の換気でなく、「計画的な換気」を取り入れる必要があります。つまり家全体を効率的に24時間(常時)換気することが重要となってきます。

■換気に関する建築基準法の内容
シックハウス対策のための強制力のある規制です。クロルピリホスを添加した建材の使用禁止。ホルムアルデヒドを発散する恐れのある建材の使用制限。24時間(常時)換気が可能な換気設備の設置義務化・・・

■シックハウス症候群とは
建材などに含まれる化学物質が揮発し、室内に滞留 部屋に滞留した化学物質によって、めまい、吐き気、頭痛・眼・鼻・のどの痛み等の症状が発生する・・・

建築基準法の改正(2003年7月1日施行)により、換気設備の設置が義務付けられ、さらに住宅全体を考えた「計画的な換気」を取り入れる必要があります。

汚染物質を外に出し、新鮮空気を取り入れるために必要な空気の量のことを「換気量」と言います。居室全体の空気が1時間あたりに入れ替わる回数が「換気回数」です。

換気量の算出方法について

建築基準法では、下記の式によって計算した換気量以上の換>気設備が必要です。

換気量〈m3/h〉=下表の換気回数〈回/h〉×居室の床面積〈m2〉×天井高さ〈m〉

居室の種類 換気回数
住居の居室等 0.5回/h以上
上記以外(非居住等) 0.3回/h以上

建築基準法での換気量は、ダクトや屋外フード等の圧力損失を考慮した有効換気量の算出が必要です。

これからは、今まで以上に住宅全体を考えた計画的な換気が必要とされます。

「換気」を変えると「空気」が変わる。これからは24時間換気ですこやか生活。

快適で健康的な生活をおくるためには、新鮮な空気が家全体に行きわたるよう、空気の入口・出口それぞれに換気設備をしっかり配置することが大切です。

※住宅と非居住建物で異なる点もございます。

住宅の24時間換気の方法は2パターンあります。

【換気】 密閉空間の換気対策

厚労省指針の必要換気風量と対応策

厚生労働省が推奨する換気

居住
  • 2回/hの窓開け換気(30分に一回以上、数分間程度、窓を全開する)
  • 二方向の壁の窓を開放する。窓が一つしかない場合は、ドアを開ける。
  • 非居住
  • ビル管理法に基づいて空気循環に関する基準を満たす換気設計
  • 基準を満たしていない場合は、換気設備の清掃・設備等の維持管理
  • 一人当たり毎時30cm3の必要換気量を確保した確実な換気
  • 出典:厚生労働省HPより

    根拠法 主な対象建築物 換気量(目安一人当たり) 換気対策
    現状 感染予防
    建築基準法 居住   0.5回/h 厚労省推奨

    2回/hの窓開け

    換気量増加
    換気量UP
    窓開け換気よる 新鮮空気に入換
    空気質向上(除菌・空気洗浄)
    【3,000m2以下】 非居住 官庁施設以外 20m3/h 厚労省推奨

    30m3/h

    換気量増加
    換気量UP、 新鮮空気に入換
    ・換気設備増強・更新
    ・外気量UP(OA取込、外気処理エアコン等)
    建築物衛生法
    基準適用建築物
    【3,000m2以下】
    官庁施設
    ※建築設備設計
    基準適用建物
    30m3/h 30m3/h 目づまり確認とメンテ
    ②よどみや風の流れ改善
    空気質向上(除菌・空気洗浄)
    3密場所の確認
    ①現状把握
    ②メンテ
    ③換気対策
    ④空質改善・省エネ対策

    ①まずは、換気設備、排気及び給気口の設置場所の確認と実態調査から実施。
    図面確認、設備調査、異音、吸排気グリルやフィルター類の汚れ、目詰まり、風量、風の流れ、使用年数等の確認。
    ②清掃等のメンテナンスを実地。
    ③換気設備がない場合は換気設備を設置。
    すぐに設置できない場合は窓をあけるとともに、風の移送、空調機経由で外気を取入を行う等を検討。
    ④換気設備がある場合でも、風の流れ(換気経路)の改善、風量アップの見直し、空質の検討を実施。

    既存の換気設備の点検、清掃のお勧め

    長年使用を続けている換気扇や掃除やメンテナンスをされていない換気扇は、羽根部や屋外フード等の汚れや部品の経年劣化により、設置当初の風量が確保できず、換気不足の可能性があります。
    まずは、汚れや異音、使用年数を確認しましょう!

    羽根汚れ有無の風量比較  約7%の風量低下

    設置当初:羽根汚れナシ

    測定風量:270(m3/h)

    設置10年相当時:羽根汚れアリ

    測定風量:252(m3/h)

    点検箇所(例)

    給排気口

    フィルター

    ファン

    最新製品は汚れが付きにくい仕様


    防汚技術
    ・ハイブリッドナノコーティング・プラス(羽根)
    ・デュアルバリアマテリアル(グリル)
    ※機能や試験条件など詳細は、製品カタログや仕様書、
    取扱説明書、据付説明書を参照願います。

    ■使用10年後を想定した
    シロッコファンの汚れ付着比較

    コーティングなし  コーティング あり

    ■使用10年後を想定した
    グリル部の汚れ付着比較


    従来素材         新素材
    (デュアルバリアマテリアル)

    【既存】換気量が十分でない場合の対策

    換気不足やよどみになりやすいスペース 例

    オフィス・会議室

    飲食店

    店舗

    ホテル

    換気不足の対策

    • 個室の換気量が十分でない場合、扉や窓を開放する。
    • 換気設備の風量アップ設定変更、またはダクト扇追加、風量を上げた機種に入替、外気冷房空調併用等。
    • 換気の補助として、サーキュレーター、空気洗浄機等の設置。
    • 在室人数を減らす業務運営により、密集、密接の回避。

    換気辞書

    か行

    機械換気

    換気扇などの機械の力により強制的に室内の空気の入れ替えを行う。人が快適に暮らす家を建てる場合は、「機械換気」が有効。

    揮発性有機化合物(VOC)

    シックハウス症の原因とされる物質。発生源とされるものは、以下のとおり。
    ◆建材関係
    パーティクルボードや化粧板の接着剤、壁紙の可塑剤、断熱材、シール材、プラスチック配管塗料の溶剤、防カビ剤、防蟻剤など
    ◆インテリア用品・家具材
    カーペットの接着剤、タンスの防虫剤・接着剤、カーテンの難燃剤など
    ◆設備
    キッチンや洗面化粧台のキャビネット材や接着剤
    ◆日用品
    事務用品、接着剤、芳香・消臭剤、滅菌材、合成皮革やホースなどの可塑剤など
    ◆電化・暖房商品
    掃除機の防虫・防菌剤、開放型ストーブなど

    局所換気

    キッチン・浴室・トイレ・リビングなど、汚れた空気が大量発生する部分に効果的な換気方式。
    〈換気の考え方〉
    ピンポイントで汚染物質を室外へ素早く排出し、新鮮空気と入れ替える。

    クロルピリホス

    シックハウス症の原因とされる物質。シロアリ駆除などに使われる有機リン系殺虫剤のこと。けいれん・脱力感・感覚マヒなどの神経障害を引き起こす。

    結露

    空気が含むことのできる水蒸気の量は、温度によって変化する。暖かいと水蒸気をたくさん持つことができ、冷たいとあまり持つことができない。冬、窓ガラスにできる結露は、室内の水蒸気を含んだ暖かい空気が窓ガラスに触れて急に冷やされ、持っていた水蒸気を放出するために発生するもの。

    さ行

    自然換気

    外風や、室内と外の温度差などの自然環境を利用して室内の空気の入れ替えを行う。

    シックハウス症候群

    化学物質に汚染された室内空気により生じた、居住者の健康被害の総称。建物の気密化・断熱化に伴う換気不足のほか、新建材や家具・カーテン・シロアリ駆除・衣類防虫剤などから発生する、揮発性の化学物質が原因といわれている。

    静圧

    「静圧」をわかりやすく説明すると、ゴム風船がふくらむ力のこと。換気扇の場合は、ダクトなどの狭い場所を空気が通る時に生じる力のこと。単位はPa(パスカル)。

    正圧

    室内の気圧が高いこと。給気だけを続けると、室内の気圧が上がり、外へ空気が逃げたがる。したがって、トイレや浴室・洗面所などのダーティーゾーンは、正圧にならないよう局所換気で対応する。

    全般換気

    家全体の空気を入れ替える換気方式で、換気システムにより家全体を計画的に換気する。
    〈換気の考え方〉
    常時(24時間)小風量で排気・給気を行い、汚染物質の濃度上昇を抑える (発生した汚染物質を薄める〈希釈する〉)。

    た行

    第1種換気

    給気・排気とも機械換気で強制的に行う換気方式(給排気型)。 機械換気の中で最も確実な給気・排気が可能で、空気の流れを制御しやすく戸建・集合住宅ともに適している。熱交換方式も可能。

    第2種換気

    給気は機械換気で行い、排気は排気口から自然に行う換気方式(給気型)。 室内が正圧になるため、他の部屋や天井裏などの空気が侵入せず、室内を清浄に保ちたい時などに有効。住宅に採用される例は少なく、クリーンルームなど業務用での採用が多い。

    第3種換気

    排気は機械換気で強制的に行い、給気は給気口から自然に行う換気方式(排気型)。 一番多く使われている換気方式で、排気が機械換気のため、湿気が壁内に侵入しにくい。高気密住宅では、低コストで計画換気が可能。

    な行

    中津川製作所

    中津川製作所は、1943年(昭和18年)に三菱電機(株)名古屋製作所の分工場としてスタートした。創業期、何度も閉鎖の危機に直面しながらも、背水の陣で挑んだ扇風機開発。常に業界に先がけて“新しい風”を創りだし、以後“風の中津川”として、快適環境実現に貢献し続けている。

    は行

    風量

    風量」とは、換気扇が1時間で排気(給気)する空気の量のことで、単位はm3/h。

    負圧

    室内の気圧が低いこと。排気だけを続けると、室内の気圧が下がり、すき間から空気が入ってくる。したがって、トイレの臭気や、キッチンの排ガス、調理のニオイ・油煙、浴室の水蒸気など、他の部屋に流れ出るのを防ぎたい場合は、その部屋に設置した換気扇で排気し、負圧にする。

    VOC

    揮発性有機化合物

    ホルムアルデヒド

    シックハウス症の原因とされる物質。非常に揮発性の高い有機化合物の一種で、消毒などに使用するホルマリンの原料。合板・パーティクルボードに使われる接着剤(メラニン樹脂)やビニル壁紙・壁紙用接着剤中の防腐剤に含まれる。

    ら行

    ロスナイ

    冷暖房時に換気扇を回すと、折角、暖めたり冷やしたりした室内の空気も、同時に排出されてしまう。冷暖房の熱エネルギーを排出せずに換気のみを行う換気扇をロスナイ(全熱交換器)という。
    ロスナイは中津川製作所で生まれ、ネーミングは、エネルギーの損失(ロス)が無い(ナイ)換気扇という意味。室内の冷暖房した温度を再び室内に戻して再利用する省エネ機器。